
(福島 香織:ジャーナリスト)
トランプ米大統領の「逆キッシンジャー戦略」は挫折するのだろうか。
そう思わせるにたる習近平のロシア訪問だった。
中国の習近平国家主席が5月7日から10日までロシアを公式訪問した。モスクワで開催されるソビエト連邦祖国防衛戦争勝利80周年記念式典に出席するためだ。赤の広場での軍事パレードには解放軍を含めて13カ国の軍が参加したが、習近平は主賓扱いで、これは中ロ軍事協力が今後進むことを予感させるものだった。
習近平のロシア訪問は就任以来11回目。国家主席としての外遊はロシアが最多だ。
今回の習近平訪ロおよび旧ソ連戦勝80周年記念のニュースは主に4つの点で国際メディアの注目を浴びていた。
まず、戦時下の戦争当事国による旧戦争勝利のアピールと軍事パレードに対してどれほどの国家が参加するか。結果的には30近い国・地域の首脳・高官が参加し、軍事パレードには13カ国の軍が参加。欧州連合(EU)からセルビアのヴチッチ大統領、スロバキアのフィツォ首相が参加しようとしてEUが阻止しようするなどの悶着もあった。トランプ大統領を含む欧米首脳も招待されていたが、当然不参加だ。
2つ目には、北朝鮮との関係。金正恩がロシアに現れるのではないかと多くの国際メディアが事前に騒いだが結局、来なかった。もっともロシアと北朝鮮の関係が、ワンランクアップしたことには間違いない。
北朝鮮は4月27日、ロシアとウクライナの戦争地域に軍隊を派遣したことを初めて公式に認めている。その前日、ロシアは北朝鮮軍の助けを借りてクルスク地方を奪還したと述べ、ロシアと北朝鮮が軍事同盟を結んでいることを強調していた。
3つ目は、ウクライナの反応だ。